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ピアノはヨーロッパで生まれ育った楽器です


(1) ピアノが生まれるまで

 ピアノといえば

まず、あの白と黒の鍵盤 ( キーボード ) の
イメージがうかびませんか?。


白黒の鍵盤は、ほかにオルガンや電子ピアノ、
アコーディオンや鍵盤ハーモニカにもついて
います。



‥‥1本の細い板を1本の指で押す。

原理はいたってシンプルですが、ヒトの手に
ある10本の指の能力をフルに使う、機能的な
アイデアですね。



ピアノは、キーボード・ファミリーのすごく繁栄
している、直系の子孫です。


けれども、分家して、ピアノと名乗ってからは、
まだ300年くらい。


   何度か改名もしています。

   クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・
   フォルテ→ ピアノフォルテ → ピアノ

   と、だんだん短く、呼びやすく。


そして、私たちが今目にするような、りっぱな
「ピアノ」 に変身してからは、まだ150年
くらい‥‥。



でも、由緒正しいこの一族のルーツは、
たいへんに古いのです。





 ステュアート
 「ピアノを弾く若い女性」

 ヒュドラリウス 【 ピアノの遠いご先祖さま 】

紀元前3世紀、すでに元祖というか、御本家
初代様 の記録が残っています。


「世界の結び目」と呼ばれ、蔵書70万冊の
大図書館を誇り、「世界七不思議」の一つ
に数えられた、古代文化の都 エジプトの
アレクサンドリア。

その町で、技師クテシビウスが、水圧を
利用した鍵盤楽器 「 ヒュドラリウス 」 を
造ったといわれています。


オルガンやパン・パイプのように、空気を送って
音を出す仕組みだったと考えられています。


hydraulis


 ダルシマー 【 ピアノの古い親戚 】


11世紀、十字軍の遠征がはじまった頃、中近東
からヨーロッパへ伝わった楽器に、ダルシマー
があります。


これには、鍵盤はありませんでした。


日本の琴のように、木でできた共鳴箱の上に、
弦が張ってあります。

手に持ったハンマーで、弦を打って音を出す
しくみでした。


鍵盤はないのですが、ハンマーで打弦する
ところがピアノに似ています。



アメリカ シアトル Dusty Strings社 製作  Prelude

 クラヴィコード 【 ピアノのお父さん 】
14世紀、ヨーロッパで中世が終わりを告げ、ペスト
が大流行していた頃、イスラムとの貿易で繁栄して
いた、ルネッサンス・イタリアで誕生しました。


   当時のイタリアは、ヨーロッパの経済・文化の
   中心で、画家ジオットや、「神曲」のダンテ、
   「デカメロン」のボッカチオらが活躍中でした。


性能がよくコンパクトだったので、ピアノが普及して
からも、かなり長い間、人気がありました ( とくに
ドイツで )。


楽器の上に鍵盤があります。

その奥 ( 外からは見えません ) で、金属の部品
が、弦を突き上げて音を出すものでした。

澄んだやさしい音色で、鍵盤を押す強さで強弱が
つけられ、ヴィブラートもかけられました。

でも、大きく響かせることはできなかったのです。



イタリア ミラノ Bizzi社 製作 

パリ博物館収蔵 無銘フレッテッドタイプ ( ギターのようにフレットがある古い型)

 チェンバロ 【 ピアノのお母さん 】

16世紀、ヨーロッパが大航海時代と宗教改革を
へて、封建制の最終形態 絶対主義にむかう中、
やはり、イタリアで生まれました。


   コペルニクスやブルーノが地動説を説き、
   ガリレオがピサの斜塔で落体の実験を
   していた頃のことです。


その後、拡大され、横のつながりも強くなった
ヨーロッパの文化は、「バロック」 と呼ばれる
時代に入っていきますが、その中で大流行
しました ( とくにフランスで )。


   イギリスでは 「 ハープシコード 」
   フランスでは 「 クラブサン 」
   イタリアでは 「 クラヴィチェンバロ 」
   などと呼ばれましたが、同じ楽器です。


鍵盤を押すと、鳥の羽でできた部品が、弦を
はじいて音が出ます。

本体が、クラヴィコードよりかなり大きくなった
ので、音量も大きくなり演奏しやすくなりました。

でも、音の強弱はつけにくかったのです。


埼玉県 久保田彰チェンバロ工房 製作 BASIC RUCKERS


 当時の古地図

 フォルテピアノ 【 ピアノの赤ちゃん時代 】

18世紀初め、またもやイタリアで生まれました。

このように、イタリアが、長く音楽文化の中心で
あり続けたなごりで、楽想の表記など、音楽の
分野では、今もイタリア語が使われています。

   この世紀は、哲学のカント、政治思想の
   モンテスキュー、ヴォルテール、ルソー、
   経済でアダム=スミス、科学の分野では
   ニュートンやフランクリンと、世界を変える
   重要な思想・原理を説く人々を輩出しました。


そして、文芸の大パトロン (すでに全盛期を
過ぎてはいましたが) イタリア・メディチ家の
楽器工房主任 クリストフォリも、すばらしい
発明をしました。


クラヴィコードのような、金属部品が弦を
打って音を出すしくみ ( アクション ) を、
チェンバロのような、大きくてしっかりした
ボディの中に組み込んだのです。


そうして生まれた
「 クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ 」
( = 小さな音も大きな音も出せるチェンバロ )。


それは、別々の楽器だったころにもって
いた弱点を、みごとに克服していました。


 若きクリストフォリ



 クリストフォリ製作 1722


 こうして、ようやく
生まれた、 新しい楽器 ピアノ。


これから、どんなふうに成長してゆくのでしょう?


今、わたしたちが、当たり前に目にするような、立派
な姿になるまでには、それは長い旅が‥‥。


それでは、かれが、試練を次々と ( 堂々と! )
乗り越えていく姿をお目にかけましょう



                           今のピアノ

ドイツ ベルリン ベヒシュタイン社製作
 C.BECHSTEIN D280

 リッピ 
 「聖ベルナルド」(部分)



      昔のピアノ


 

    Concert 8


 さあ、お待たせしました。

 いよいよ、華やかな ピアノの時代 のはじまりです!


 
 ヨーロッパ輸入ピアノ専門店 バロック