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「 ヨーロッパの貴婦人 」 と呼ばれたピアノ

ベヒシュタイン A 1910  修復が完成しました

長いあいだコツコツと取り組んできた、
【 ベヒシュタインA 】のオーバーホールが、
やっと終わりました。

とても良い仕上がりに満足しています。


こんな楽器との出逢いを待っておられた皆さま
ぜひ、名古屋まで逢いにきてやってください。

ベヒシュタイン A とは

ベヒシュタイン黄金時代の精華 

楽器造りは平和産業であるはず‥‥。


しかし、20世紀ヨーロッパを襲った歴史の激動の中、当然
ピアノ産業も渦中に巻き込まれました。

ご存知のとおり、ドイツは、第一次世界大戦、ヴェルサイユ
条約による巨額賠償、大恐慌、ナチスの台頭、そして悲劇
の第二次大戦、その後の国土分割、東西の冷戦と、歴史
の嵐の真っただ中を歩みます。


戦争により、国土は壊滅的な打撃を受け、廃墟と化した
首都ベルリンは東西に分断されて、その地に本拠をもつ
ベヒシュタインも、非常な苦境に立たされました。


戦火を受けなかったアメリカ資本の後塵を拝しても、頑固
に音のコンセプトを守り続け、長い伝統の底力をもって
素晴しい復活をとげるまで、しばしの雌伏を余儀なくされ
ました。


この
【 ベヒシュタインA 】は、その以前、ベヒシュタイン
第一次黄金期に造られたもので、その気品あふれる優雅
な美しさから、当時誰ともなく 「 ヨーロッパの貴婦人 」 と
呼び出した、実に魅惑的なモデルです。




 「貴婦人の肖像」 ダ・ヴィンチ 


神話の時代 
比類なきベヒシュタイン

このピアノが生まれた1910年とは、どんな時代だった
でしょう。

世界年表をみると、1911年 アムンゼン南極大陸到達、
1912年 大正時代のはじまり、1914年 第一次世界
大戦の開戦 とあります。



この頃は、ちょうどわが国の西洋音楽のあけぼのに
あたります。

大正10年、日本楽器(現ヤマハ)は、河合小市氏
(河合楽器 創業者)ら4人をイギリス・ドイツ・イタリア
と世界一周の視察旅行に出しました。

そして結果的に、ベヒシュタインを選んで、技術提携を
結びます。

当時の技師長シュレーゲルを招聘したのですが、社員
の月給が50円の時代に、彼の月給は1000円、実に
社長以上の待遇でした。



そのとき日本楽器が、全国に配布した文書が残って
いますが、その一節に、

「‥‥欧米著名の工場を悉く歴訪して、各製造所について
 その規模、設備、製法、原料等は素より、販路、信用、
 経営等に関すること迄も巨細に比較研究致させました。

 その結果は予期の如く、全然比較の圏外に立って
絶対に他の追随を許さぬ名実共に世界最善のピアノ
は正しくベヒシュタインである
ということが分かりました 」

とあります。
ちょっと長くなりますが、もう少し引用してみましょう
( 旧字は変えてあります )。







   
   リスト 


( 続き )

「世界で音楽の国と言えば独逸で御座います。その独逸で
 又音楽の都と迄言われる伯林は、世界中で最も音楽に
 理解の深い人々の集まりであります。

 此の選ばれたる人々の前で自己の芸術を発表する事は
 如何なる音楽家にとっても登竜門であるか又桧舞台で
 あるかでなければなりません。

 従って其の態度は飽く迄真摯に、用意は飽く迄周到で
 あります。

 その伯林で使用されるピアノについての統計を調べて
 見ましょう‥‥‥一目して独逸におけるピアノの現状を
 知る事も出来ます。

 実にベヒシュタイン只一種の数字が、他の総てのピアノ
 に匹敵する事を誇るのであります。

今日独逸でピアノと言えば何人も言下にベヒシュタイン
 
と答えます 」



‥‥これが、「 神話 」 とすら呼ばれた、
   比類なきベヒシュタインの姿です。



永田町 首相官邸のベヒシュタイン・グランド (製造番号
132・117番 ) が生まれたのは、この少し後の1928年
でした。


リスト、ドビュッシー、ラフマニノフ、ベルリン・フィルの初代
指揮者 ハンス・フォン・ビューローら、著名な音楽家に
絶賛され、ヨーロッパ各王室がこぞって熱烈に支持した、
高雅で風格のある楽器 ベヒシュタイン。



今、再び、当時の音色を響かせます。



  「 この28年間、私はずっと弾き続けてきたが、

   ベヒシュタインはいつも最高の楽器だった 」


                          リスト



 ドビュッシー 


 ラフマニノフ 


 リスト 
 


 現在 展示中
ベヒシュタインA  ベルリン 1910年

販売価格 390万円 (消費税込み)


脚部は丸脚型
    ( ビクトリア王朝モデル )

白鍵 象牙 ・ 黒鍵 黒檀

総アグラフ方式

サイズは、クラシックモデルの

【 ベヒシュタイン M 】 と同じ

180cmです。

   このタイプは現在生産されて
   いませんが、仮に販売されて
   いるとすれば、推定価格は、
   約900万円といわれています。





参考 :リストが愛用したベヒシュタイン
カール・ベヒシュタイン製作 ベルリン

1880年頃 

幅156cm 奥行 264cm 高さ 94cm

88鍵  音域 7オクターブと3度 

ヴァイマール   リスト博物館 所蔵

参考 : 東京にある 1880年製ベヒシュタイン ( 個人所蔵品 ) 
上記のピアノ( 製造番号10996 )で演奏されたCD

   「125年の音を紡ぐ
      ‥‥1880年製ベヒシュタインを弾く」

が発売されています。


収録曲  ショパン

 @ ノクターン 第1番 作品9−1 変ロ短調
 A ノクターン 第2番 作品9−2 変ホ長調
 B マズルカ 作品17−1 変ホ長調
 C マズルカ 作品17−1 ホ短調
 D マズルカ 作品17−1 変イ長調
 E マズルカ 作品17−1 イ短調
 F ノクターン 第20番 嬰ハ短調 遺作
 G ワルツ 第10番 作品 69−2 ロ短調
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
           作品22 変ホ長調
 H アンダンテ・スピアナート
 I 華麗なる大ポロネーズ
 J ワルツ 第9番 作品69−1 変イ長調
             「別れのワルツ」

 ピアニスト 近藤和花


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ショパン 



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